2024年03月01日
刻まれた少女の体は食物に変わる祭儀と、保食神を殺す月読神、保食神を殺す須佐之男命
『日本書紀』に月読神が保食神(ウケモチノカミ)を殺害する話がある。『古事記』にはスサノウが大宜都比売神(オオガツヒメカミ)を殺害する話がある。いずれの話も殺害された女神の体から食物が生成する。
これら神話の原型としての祭儀がニューギニアでおこなわれた。
【マヨ祭儀・ニューギニア・マリンドアニム族】
いよいよマヨ祭りの頂点をなす、つぎのような凄惨な儀式が行われる。
「殺す父」と呼ばれる男が、儀礼のなかだけで使われる特殊な武器を携えて登場し、「マヨ娘」あるいは「マヨ母」と呼ばれる生贄の少女を殺害する。この少女は殺される前に、そこにいるすべての男たちによって犯されねばならない。彼女の肉は食べられ、骨は一本一本の椰子の根本に分けられて埋められ、血は椰子の幹に塗られる。
吉田敦彦「日本神話の源流」第三章〜神の殺害と農耕の起源〜p65
食物生成神話譚。ヤーウェヌ型神話と称されるこれら、祭儀と神話。女神の体は死と引き換えに食物に変えられる、、、

画/安田靱彦「保食神(うけもちのかみ)」
これら神話の原型としての祭儀がニューギニアでおこなわれた。
【マヨ祭儀・ニューギニア・マリンドアニム族】
いよいよマヨ祭りの頂点をなす、つぎのような凄惨な儀式が行われる。
「殺す父」と呼ばれる男が、儀礼のなかだけで使われる特殊な武器を携えて登場し、「マヨ娘」あるいは「マヨ母」と呼ばれる生贄の少女を殺害する。この少女は殺される前に、そこにいるすべての男たちによって犯されねばならない。彼女の肉は食べられ、骨は一本一本の椰子の根本に分けられて埋められ、血は椰子の幹に塗られる。
吉田敦彦「日本神話の源流」第三章〜神の殺害と農耕の起源〜p65
食物生成神話譚。ヤーウェヌ型神話と称されるこれら、祭儀と神話。女神の体は死と引き換えに食物に変えられる、、、

画/安田靱彦「保食神(うけもちのかみ)」
2024年02月22日
〜雉の頓使(ひたつかひ)〜古事記・上
……即ち天若日子(あめわかひこ)、天つ神の賜へりし天(あめ)のはじ弓・天のかく矢を持ちて、其の雉(きぎし)を射殺しき。爾に其の矢、雉の胸より通りて、逆(さかしま)に射上げらえて、天の安の河の河原に坐す天照大御神・高木神の御所(みもと)に逮(いた)りき。……其の矢を取りて、其の矢の穴より衝き返し下(くだ)したまへば、天若日子が故床(あぐら)に寝(いね)たる高胸坂(たかむなさか)に中(あた)りて死にき。〈此れ還矢(かへりや)の本なり。〉亦、其の雉、還らざりき。故、今に諺に「雉の頓使(ひたつかひ)」と曰ふ本は是れなり。(古事記記・上)
【現代語訳】
下界を巡察せよと命じられた天若日子(あめわかひこ)。三年を経ても復命がなかった。天つ神はいぶかりキジを使いにやる。これは「雉の頓使(ひたつかひ)」という語のはじまり。天若日子これをわずらわしいと、かねて天つ神より与えられたアメのはじ弓・アメのかく矢をもち、使いの雉を射殺すと、その矢は
天の安の河の河原に至る。天照大御神・高木神は、その矢を下界に投じると、天若日子の寝所に至り、その胸を突き通した。還矢とはこのことをいふ、、

画/若冲「雉子頭」
【現代語訳】
下界を巡察せよと命じられた天若日子(あめわかひこ)。三年を経ても復命がなかった。天つ神はいぶかりキジを使いにやる。これは「雉の頓使(ひたつかひ)」という語のはじまり。天若日子これをわずらわしいと、かねて天つ神より与えられたアメのはじ弓・アメのかく矢をもち、使いの雉を射殺すと、その矢は
天の安の河の河原に至る。天照大御神・高木神は、その矢を下界に投じると、天若日子の寝所に至り、その胸を突き通した。還矢とはこのことをいふ、、

画/若冲「雉子頭」