「長生殿」金沢市.森八、「越の雪」新潟県長岡市.大和屋、そしてご当地、博多区上川端に
暖簾を構える、松屋菓子舗の「鶏卵素麺」
これは、「日本三大銘菓」と云われるお菓子を並べたもの。
森八の「長生殿」は、落雁。
金沢藩主・前田利常が創意したもので、森八三代目の八左衛門が今に伝えている、とか。
大和屋の「越の雪」は、餅米の寒晒し粉に和三盆糖をのせたもの。
安永七年(1778)。長岡藩九代藩主・牧野忠精が病に伏すということがあった。
その際、大和屋の祖・庄左衛門が、寒晒粉に甘みを加えて調理した菓子を作り、献上したところ、忠精の食欲を戻し、病は癒えた。
江戸時代中頃まで、菓子は、薬菓子として薬屋の棚に並べて売られていたという。菓子の一部は、薬から岐れて、現在のような嗜好品になった、という話だ。そのことをうら付けてくれる、忠精が口にした菓子。これが、後の「越の雪」ということらしい。
「長生殿」「越の雪」
この二つは、いわいる、京菓子の系統を引いている。
さて、「鶏卵素麺」は、鶏卵を糖蜜に晒す、という至って素朴な作り方で伝わってきた南蛮菓子。そして、「長生殿」「越の雪」よりも古い歴史を持っている。
意外と思われるが、京菓子よりも、南蛮菓子の方が、古くから伝わってきた。
京菓子は、それまで、餅菓子や、饅頭。その他、煎餅をはじめとした、焼き菓子などのみが菓子としてあった所に、元禄期以降、商品経済の発達にともなって、京都から始まり、全国で真似たものを作るようになった。
南蛮菓子は、元禄期を100年は遡る、室町末期。織田信長や豊臣秀吉の時代に
に、ポルトガル、イスパニヤの宣教者や貿易商人の手によって、わが国にもたれされた。九州を中心に、多くの種類が、その後、定着して現代まで生き残り、伝えられることになる。献上したコンペイ糖を、信長が無邪気に頬張り、ぼりぼりと音を立てて食べながら、喜んでいた、と宣教師がローマ法王庁への書簡に書き残していたりもする。
大航海時代のポルトガルに原型を求められる「鶏卵素麺」も、コンペイ糖と同様、信長が喜んで食べていたのかもしれない。
「南蛮料理書」
同書は、世紀1600年以前に、西九州の何れかで書かれたとされている、現存する唯一の南蛮菓子料理書だ。その一項目に「鶏卵素麺」の製法が記されている。
三大銘菓の一つ、「鶏卵素麺」に限らず、博多と菓子の付き合いは古い。
饅頭の最初は、博多区博多駅前の承天寺を開いた聖一国師が、栗波清左衛門という、荒津・現在の中央区荒戸の茶店の主人に、宋から覚えて来た、その製法を伝えた所からだとか。これは、鎌倉時代中頃の話。
今では、すっかり、名古屋のお土産の顔となっている「ういろう」も中国大陸で元が滅び、わが国へ亡命してきていた陳外郎・チン.ウイロウ(「ういろう」は元国の官名・準職員ほどの意味)の子孫がはじめて製したという。その陳外郎は、現在の博多区御供所町に境内をもつ妙楽寺を亡命の安住地として住んでいた。こちらは、鎌倉時代も末のこと。
煎餅は、遣唐使として遊んだ唐から帰って来た空海が伝えた、という伝承がある。山城国のなんとかと云う者に、空海は、その製法を伝授したらしい。煎餅の始まりは、山城国からということだ。
そうだろうか、空海は唐から帰朝したものの、諸事情があって、すぐには都へ
上らず、太宰府辺りを中心に2年ほどのあいだ、九州にいた。その間、暇に任せて、唐から製法を覚えて来た煎餅を焼いてふるまうようなことが、2.3度はあったかもしれない。煎餅が初めて焼かれたのは博多ノ津でのことかも、という想像は許されるだろう。
水田耕作最古の地のことでもあるし、餅を最初に搗いたのも、福岡平野の弥生人だったのでは、とも思う。
神話の時代まで遡れば、菓子の神様として、古事記垂仁紀に出てくる、タジマモリは、前原市の高祖神社に関わりがあったりする。
こうして、勝手な想像も含めて、許してもらえれば、博多は日本のお菓子の初源の地だと、言うことができる。
そんな、博多で昔、むかし楽しまれていたお菓子のレポート。
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