刻まれた少女の体は食物に変わる祭儀と、保食神を殺す月読神、保食神を殺す須佐之男命

Frco.Don

2024年03月01日 17:11

『日本書紀』に月読神が保食神(ウケモチノカミ)を殺害する話がある。『古事記』にはスサノウが大宜都比売神(オオガツヒメカミ)を殺害する話がある。いずれの話も殺害された女神の体から食物が生成する。

これら神話の原型としての祭儀がニューギニアでおこなわれた。

【マヨ祭儀・ニューギニア・マリンドアニム族】
いよいよマヨ祭りの頂点をなす、つぎのような凄惨な儀式が行われる。
「殺す父」と呼ばれる男が、儀礼のなかだけで使われる特殊な武器を携えて登場し、「マヨ娘」あるいは「マヨ母」と呼ばれる生贄の少女を殺害する。この少女は殺される前に、そこにいるすべての男たちによって犯されねばならない。彼女の肉は食べられ、骨は一本一本の椰子の根本に分けられて埋められ、血は椰子の幹に塗られる。

吉田敦彦「日本神話の源流」第三章〜神の殺害と農耕の起源〜p65

食物生成神話譚。ヤーウェヌ型神話と称されるこれら、祭儀と神話。女神の体は死と引き換えに食物に変えられる、、、


画/安田靱彦「保食神(うけもちのかみ)」

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